2019 年 55 巻 3 号 p. 59-65
藍藻の異常増殖は高水温時に発生する問題と考えられてきたが、近年では水温が15℃以下に低下する秋季においてもアオコの残存や発生が報告されており、低水温期にアオコの現存量を減少させることの重要性が指摘されている。そこで、本研究では秋季に二枚貝のろ過摂食を活用した水質浄化が適用可能か検討することを目的として、ヤマトシジミとセタシジミを対象として、秋田県八郎湖の湖水を用いて秋季におけるろ過速度の定量を試みた。さらに、酸素消費速度を測定するとともに、代謝に必要な餌量を推定した。その結果、水温6.7~11.3℃の条件下においてヤマトシジミ、セタシジミはそれぞれ21.1、16.9 L kg-1 h-1のろ過速度を有することが明らかとなった。また、水温5.4~11.4℃の条件下において酸素消費速度はヤマトシジミとセタシジミにおいて0.014、0.032 mgO2 g-1 h-1であった。そして、酸素消費速度からヤマトシジミとセタシジミは1時間あたり0.032、0.073 mg g-1の藻類を餌として利用する必要があると試算された。本研究により水温が低下する秋季においてもシジミ類がろ過活動を行っており、また懸濁物質を餌として代謝する必要があることが示された。低水温期における二枚貝類を利用した水質浄化手法提案への基礎的な知見となることが期待される。