日本食品保蔵科学会誌
Online ISSN : 2186-1277
Print ISSN : 1344-1213
ISSN-L : 1344-1213
国産麺用小麦粉を用いたパンの品質に及ぼす酸可溶性小麦タンパク質と中種法の改良の影響
廣瀬 理恵子新井 千秋戸崎 幹子山口 聡鈴木 実宮森 清勝野口 智弘髙野 克己
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 48 巻 4 号 p. 165-174

詳細
抄録

 製パンには不適とされる国産麺用小麦粉を用いて,品質の良いパンの製造を可能にするため,酸可溶性小麦タンパク質(ASP)を使用し,中種法を改良して製パン試験を行った。得られたパンは体積,比容積を測定し,走査型電子顕微鏡でパン内相の微細構造を観察し,デンプン糊化度並びに物性の経時変化を分析してパンの品質評価を行った。その結果,麺用小麦粉にASPを加えるとパンの体積は増加した。さらに生地のグルテン強度を高めるため,通常本捏で添加する食塩を中種に加え,酸化剤と酵母の添加量を増やし,十分な混捏を行い,中種生地を改良して製パンをした結果,パンの体積,比容積が有意に増加し,パン内相の硬さや凝集性などの物性の経時変化が抑制され,対照としたパン用小麦粉で作ったパンの品質に近づいていることを認めた。ASPを添加し,中種生地を改良して得られたパン内相の微細構造を観察すると,気泡の形状,気泡膜表面の状態,デンプン粒子の形状などがパン用小麦粉で作ったパン内相と近似していた。国産麺用小麦粉を用いた製パンにおいて,ASPの添加と中種生地の改良はパン内相の気泡形成に良い影響を及ぼし,パンの品質を高める一要因であると推察した。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本食品保蔵科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top