2022 年 58 巻 3 号 p. 107-114
灌漑の用途を廃止され公園の親水池として運用されているため池では,富栄養化が常態化している事例が多い.こうした池では,非灌漑期に定期的に実施されていた水干しが実施されていない.その結果,池での生態的撹乱が消失し,特定の外来種の異常増殖が認められることが多い.このような池で人工的な水位撹乱を復活させ,鳥類によるアメリカザリガニやウシガエル幼生に対する捕食圧を高めた.その結果,アメリカザリガニおよびウシガエルの低密度管理に成功した.水生植物の繁茂が広がり,ミジンコ等の動物プランクトン類の生息密度が高まった.その効果は,食物網を通じ生物相に広く波及し,水環境保全に奏功することが確認できた.