日本水処理生物学会誌
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調査論文
琵琶湖辺の池におけるラン藻Raphidiopsis raciborskiiのブルーム形成
大塚 泰介鈴木 隆仁辻 彰洋
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2023 年 59 巻 2 号 p. 27-32

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抄録

 これまで琵琶湖から報告されていないラン藻Raphidiopsis raciborskii (Wołoszyńska) Aguilera et al.が、2022年10月以降、琵琶湖南湖に隣接する琵琶湖博物館生態観察池でブルームを形成した。形態に基づく同定は、BLASTによってrbcL遺伝子の配列を参照することによっても確認された。本種の表層水中での密度は2022年11月3日に7.5×103トリコーム/mLに達した。本種は熱帯性とされており、水温25℃以上でブルームを形成することが多いことが知られている。しかし、この池では水温が10℃以下になった12月20日まで優占種であり続けた。本種には肝臓毒シリンドロスパーモプシンと、麻痺性貝毒を引き起こすサキシトキシンを産生する系統があることが知られている。そのため、琵琶湖とその周辺で発生した本種の毒性を確認するとともに、その動向に注目する必要がある。

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