レジオネラ症の感染事例は,海外では冷却塔水を原因とする集団感染事例の報告が多いが,日本国内では浴槽水を原因とする事例が最も多い。衛生管理水準の向上を促すために厚生労働省から相次いで通知等が出されたが,温泉施設に起因するレジオネラ症集団感染事例はいまだに発生している。
東京都では条例において,レジオネラ属菌は「検出されないこと」を「10 CFU/100 mL未満」として運用しており,この基準を超えた場合には施設に対して改善指導を行うことにより,営業施設等におけるレジオネラ症発生防止対策を行っている。
本稿では,東京都で実施している浴槽水のレジオネラ属菌試験方法を紹介するとともに,2018年度から2020年度に行政検査として実施した東京都内施設における浴槽水2,072検体中のレジオネラ属菌検出状況について報告する。
これまで琵琶湖から報告されていないラン藻Raphidiopsis raciborskii (Wołoszyńska) Aguilera et al.が、2022年10月以降、琵琶湖南湖に隣接する琵琶湖博物館生態観察池でブルームを形成した。形態に基づく同定は、BLASTによってrbcL遺伝子の配列を参照することによっても確認された。本種の表層水中での密度は2022年11月3日に7.5×103トリコーム/mLに達した。本種は熱帯性とされており、水温25℃以上でブルームを形成することが多いことが知られている。しかし、この池では水温が10℃以下になった12月20日まで優占種であり続けた。本種には肝臓毒シリンドロスパーモプシンと、麻痺性貝毒を引き起こすサキシトキシンを産生する系統があることが知られている。そのため、琵琶湖とその周辺で発生した本種の毒性を確認するとともに、その動向に注目する必要がある。