2023 年 59 巻 4 号 p. 59-66
河川の植生帯における有機物(植物)分解に多様な生物の関与が報告されている。本研究は猪苗代湖流入河川河岸の植生帯の有機物分解に関する生物学的な基礎的情報を得るために、リター分解への関与が指摘される土壌動物の組成を中性と酸性の2河川において調査したものである。猪苗代湖流入河川河岸のヨシ群落に、枯れたヨシ茎(ヨシリター)を入れた2種類の網目のリターバッグを設置し、そのヨシリターと設置周辺土壌の土壌動物を設置から3ヶ月(3月)~12ヶ月(12月)の間調査した。調査最終時(設置12ヶ月後)のヨシリターは過去の研究と同様に全炭素含量の減少とC/N比の減少が観察され、また両川とも形状が細片したことから、リターバッグ内のリターの分解の進行が示唆された。土壌動物の侵入を制限したリターバッグからも多様な土壌動物類が得られ、またpH値の低い場所では周辺土壌よりリターバッグから多様な土壌動物類が得られた。リターバッグと周辺土壌とも、ヒメミミズ類(enchytraeids)とササラダニ類(oribatids)が優占していた。ヒメミミズ類は5属を確認した。今後、詳細な環境条件の調査や採取個体数の増加を行い、土壌動物の役割を明らかにすることが必要である。