2025 年 61 巻 2 号 p. 19-30
著者らは,藍藻類Anabaena macrospora (syn. Dolichospermum hangangense)を大量培養し,休眠細胞を大量に生産・回収する方法を開発し,一定の休眠期間を経て休眠細胞を発芽させることに成功した。本研究では,この休眠細胞の発芽評価手法を用いて,休眠時の水温と酸素が休眠細胞の生残と発芽に与える影響を評価した。
その結果,休眠細胞は低温で休眠すると高い生残率を維持するが,高温で休眠すると死滅することが明らかになった。 また,嫌気環境で休眠すると高い生残率を維持するが,好気環境で休眠すると死滅することがわかった。さらに,休眠 開始から3 ヵ月以上経過すると,休眠細胞が発芽可能になることが明らかになった。また,休眠細胞は低温から高温の 環境に移すと同調して発芽するが,高温から低温の環境に移すと発芽しないことも判明した。高温で休眠後に発芽しな かった休眠細胞を,低温処理した後に発芽環境に置くと発芽することを確認し,休眠細胞が二次休眠の能力を有するこ とがわかった。