脳卒中
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短報
リバーロキサバン内服中の脳梗塞再発に対しrt-PA 静注療法を施行した1 例
渡部 洋一市川 剛鈴木 恭一
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2014 年 36 巻 2 号 p. 82-84

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抄録

要旨:症例は75 歳,女性.心原性脳塞栓症の既往があり,8 カ月前からリバーロキサバンを服用していた.右半身麻痺と運動性失語症をきたし,当院に搬送された.MRI 拡散強調画像で左前頭葉皮質に高信号を認めた.リバーロキサバン最終服薬から約18 時間が経過しているため血中濃度は減少し抗凝固作用は減弱していると考え,出血性合併症が発生する可能性は低いと判断し,発症から3 時間40 分後にrt-PA 静注療法を行った.翌日運動麻痺は改善し,軽度の失語症を残し退院した.ワルファリン療法中に脳梗塞が発生した場合,rt-PA 療法を行うためにはPT-INR が1.7 以下であることが定められているが,新規経口抗凝固薬服用中のrt-PA 投与の可否については明確な基準はない.リバーロキサバンを内服中に脳梗塞が発生した場合rt-PA 血栓溶解療法を行うかどうかは,最終服薬からの時間を参考にして慎重に決定すべきと考えられる.

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© 2014 日本脳卒中学会
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