紙パ技協誌
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一般講演
炭化材製造設備の操業経験
清水 和明
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2006 年 60 巻 1 号 p. 98-105

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抄録
北越製紙(株)長岡工場は,1996年にISO14001を取得して以来,地球環境の保全,地域社会との調和を目ざし取り組んでいる。特に廃棄物の削減・有効利用(再資源化)は,環境問題の重要な課題として位置づけている。その中でもPS(ペーパースラッジ)の再利用・有効利用は大きなテーマであった。
当工場のPSは,その多くを古くから古紙原料として回収し利用していた。しかし,その利用率は,市況の変化を大きく受けPS在庫が増加する傾向にあり,最近その処理が重要な問題として浮上してきた。このPSを廃棄物として最終処分することなく有効利用するための手段として,2003年PSの炭化処理設備を導入することにした。
当設備は,製紙会社で多く導入されているキルン方式の炭化設備ではなく,日本製鐵(株)の縦型炉を使った自燃式炭化炉であり当機が初号機である。そのため多くの続出する難問を一つ一つ解決を図かりながらの試運転であったため,長期の試運転期間を経てようやく2004年3月に試運転が完了し営業運転に入った。現在は,1年半ほど経過し安定運転に至っているが,営業運転に入ってからも炉内にクリンカが発生し運転を継続できないトラブルを解決するため炉内の温度分布の変更と空気吹き込みの改造を行っている。さらに,市況の変化によるPS成分(灰分率)の変化に対応した運転方法を確立するまでの操業経験を紹介する。
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© 2006 紙パルプ技術協会
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