紙パ技協誌
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パルプ特集
外材オール植林木への対応
―チップの低容積重化に対する操業対応―
鈴見 竜一
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2006 年 60 巻 7 号 p. 1038-1042

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抄録

当工場は,1989年に稼動したD系列と1998年に稼動したITC蒸解釜に続くE系列,2つのL―BKPファイバーラインを有している。平成12年には最適樹種の見直しを行い,その結果を踏まえて植林木比率を年々増加させてきた。現在は,外材はすべて植林木であり,全体の95%が植林木,残り5%が国内の天然木である。これにより,原木原単位,黒液発生率の改善,漂白薬品費や品質の改善など大きな効果を得ることが出来た。しかしその一方で,チップ容積重の低下が顕著となり,特にITC蒸解釜での操業が不安定となる問題が発生してきた。実際には抽出温度や缶壁温度が急激に低下し,ノット粕が増加する現象として現れた。
その対策として抽出ストレーナーを変更してアップフローを弱めるなどの対応を執っているが,釜内洗浄の低下は,漂白薬品費や品質悪化にもつながる。そこで今現在も,極力アップフローを行いながら操業安定が図られるよう,最適な蒸解条件を模索しているところである。本稿ではこれらの対策や経験について紹介する。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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