紙パ技協誌
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パルプ特集
植林木チップの性状とパルプ特性の関係について
内田 洋介
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2006 年 60 巻 7 号 p. 1050-1053

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抄録

ユーカリ5種(E. globlus,E. nitens,E. grandis,E. camaldlensis,E. exerta)およびアカシア3種(A. mangium,A. auriculiformis,A. hybrid(A. mangium×A. auriculiformis))について,チップ品質(化学組成比,繊維形態)とパルプ化特性(蒸解性,パルプ収率)およびシート特性の関係について調査した。ユーカリ材,アカシア材別に見ると,チップ中のリグニン含有率と蒸解性およびパルプ収率は概ね相関したが,両材の間には大きな差があり,また相関から大きく外れる樹種もあった。一方,パルプの繊維形態とそのシート特性は材にかかわらず概ね相関し,繊維長は引裂強度と,繊維断面の形態は間接的に引張強度,層内強度,耐折強度と相関することがわかった。以上のことから,樹木のパルプ適性を評価するには蒸解試験は必須であるが,得られたパルプの繊維形態からシート特性を予測できることから,シート特性評価試験は省略できると考えられる。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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