紙パ技協誌
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総説・資料
高効率洗浄機「ゼクー」の開発と操業実績
秋山 紗衣子井出 丈史與田 清
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キーワード: G3除塵, G5脱インキ
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2006 年 60 巻 8 号 p. 1133-1138

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抄録

近年の古紙処理技術は,当社が最も得意とするニーディングによるパルプ化が主流になっており,この技術により古紙パルプの品質が飛躍的に向上している。古紙パルプ工程の洗浄機としては,横型ドラムの「タイゼン式濃縮洗浄機」が,平成11年度に日本紙パルプ技術協会より最も栄誉のある佐々木賞を受賞している。
現在,製紙業界において,引き続き古紙の有効利用や品質向上のための技術発展が望まれる中,古紙の軽量コート紙の増加とUVインクの増加及び完全には取り切れていない粘着異物等が古紙処理設備の工程で問題となっており,将来的にもますます古紙処理パルプの品質の向上が困難になっていくと考えられる。そのための対策として当社では,軽量コートのクレー分の洗浄機による除去,ニーディングでのUVインクの微粒形状化による洗浄とフローテーションでの除去,ニーディングでの粘着異物の粒状化によるスクリーンでの除去等の方法を考えている。
その中の一つとして,我々は更なる古紙パルプの品質向上のための濃縮洗浄機が必要であると考え,繰り返し追求と開発を重ねてきた。その結果,遠心力脱水,揉み作用,乱流,高効率の置換洗浄の組み合わせによる高い洗浄機能を備え,横型ドラム洗浄機の約1/2程度の低清水使用量,簡易化された作業性とメンテナンス,幅広い用途等の有益な特徴を持つ縦型分離・洗浄機「Zekoo」を開発するに至った。
本稿ではこの新しい濃縮洗浄機について,操業実績を含めて紹介させて頂く。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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