紙パ技協誌
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総説・資料
製紙用モニタリング装置について
オリバー マッサ
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2006 年 60 巻 8 号 p. 1139-1142

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抄録

旧来の保守の概念は,火事が起こってから火を消すという発想であり,これは損害が発生した後で対策を講じることであり製紙業界にとって最善の方法とは言えない。製紙産業の目標稼働率は95%以上と高いので稼動期間内でのシャットダウンは許されることではなく,この結果,作業者は有ってはならない危険な操業を場当たり的に行ってしまい,結果的に予定外の操業停止に追い込まれてしまう。
モニタリングによる保守では現時点あるいはある期間内で装置の運転状態が把握できれば,差し迫った損傷のシグナルが有った時点で部品を交換することが可能でき,そして残された部品の寿命を充分に利用することが出来る。今日,多くの作業者がオフライン用モニタリング装置を使用し,個々の機械の振動を決められた間隔で測定し,その結果をデーターコレクターに集め,それから機械の状態を確かめるために測定値を解析している。
オンライン用モニタリングシステムでは,ドライヤーセクションのように危険で近づくことが出来ない測定箇所には,恒久的に組み付けたセンサーを使用する事により,小刻みなデーターの収集が可能になり,しかもこの装置によってモニタリングデーターの継続的な使用ができるようになる。また,極々初期の破損あるいは運転状況の変化が非常に早い段階で発見することが出来るようになる。これは保守にとって最善の方法であり,高い信頼性を得る事ができ,結果として起こった原因の分析と適切な対策を取った場合,製紙機械のダウンタイムを効果的に減少させる事ができる。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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