紙パ技協誌
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総説・資料
紙・パルプ工場におけるプロセス応答をモデル化した予測コントローラー
―Brain Wave導入によるプロセス改善例―
水木 準二福沢 民雄デューカン ミィードビル ゴッチサヴァ コヴァック
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2006 年 60 巻 9 号 p. 1304-1313

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抄録

紙パルププロセスでは,動作が緩慢で変動が大きく,むだ時間が長いプロセスがおおく従来の制御方法の適用が難しかった。従来はカスケード制御,変動モデルパラメータ,あるいはフィードフォワード制御などの従来方式を採用していたが,制御が安定しない為,生産性,製品品質等に影響が出ないように,安全係数を見て操業していた。
BrainWaveはモデルベース型予測コントローラで,ラーゲレ関数を採用した数学モデルで内部モデルを構築する。ラーゲレ関数の採用により,内部モデルは限りなく実プロセスに近づいた。更にプロセス応答中のむだ時間を効率良くモデル化したことにより,将来のプロセス応答の予測を可能として,設定値がすばやく修正・決定されその結果,オーバーシュートの防止などでプロセスを安定させる事ができる。
BrainWaveによる安定操業により,動作限界まで操業を改善する事で,省エネ・省人等エネルギーコストの削減,生産性,歩留まりが向上する。又,品質の向上を実現した事例として,リール白色度コントロールへの導入による薬品原単位の改善がある。苛性化槽伝導度コントロールへの導入による原単位,生産性,品質の向上事例を紹介する。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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