紙パ技協誌
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総説・資料
修正クラフト蒸解へのSAQ®の適用(その3)
田中 潤治
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2006 年 60 巻 9 号 p. 1314-1318

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抄録

本報では当社で開発したラボ蒸解装置を用いて,SAQとPSを修正クラフト蒸解に組み合わせた蒸解について検討を行った。蒸解薬液の分割添加が,SAQとPSを併用することにより現れる相乗効果にどのような影響を及ぼすか,現在修正クラフト蒸解で用いられている一般的な条件において検証し,以下のような結論を得た。
・SAQとPSを併用することにより現れる相乗効果は薬液を分割添加した条件と,薬液を一括添加した条件とでほぼ同じであった。
・蒸解途中(蒸解温度が130℃の時点)に添加する薬液をPS液から白液に変更することにより,カッパー価の低減が見られた。
・空気酸化法を想定したPS液とSAQを用いた今回の実験条件では,PS濃度が約6g/Lの時に最もパルプ収率が高かった。
今回の結果から,当社の実験装置の特徴である,薬液の分割比率や蒸解途中での黒液の抽出,そしてそれらを行う蒸解温度等,様々な条件の組み合わせにより,更なるSAQとPSによるパルプ収率の向上が期待できる。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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