2010 年 64 巻 1 号 p. 55-58
カタラーゼは,好気性生物のほとんどの生物に存在する酵素で過酸化水素を酸素と水に分解する。パルププラントにおいて,好気性バクテリアなどの増殖により工程内にカタラーゼが増える事が知られており,過酸化水素漂白工程にカタラーゼが多量に存在すると漂白を阻害し,目的の白色度とするためにより多くの過酸化水素が必要となるためランニングコストを悪化させる。殺菌剤によるバクテリアの抑制や,高温処理により失活させる事でカタラーゼの作用を抑制できる事が知られている。またキレート作用を利用したカタラーゼ抑制剤でもカタラーゼの作用を抑える事が可能である。今回,弊社石巻工場HDIP1において,カタラーゼ抑制剤を用い,カタラーゼによる阻害を抑える事で過酸化水素漂白を効率化した事例を紹介する。