紙パ技協誌
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総説・資料
DDR型リファイナーの省エネルギー
―スプライン技術による既設リファイナーの改造―
矢野 順一
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2012 年 66 巻 5 号 p. 461-464

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抄録

DDR型リファイナーのスプライン化改造による省エネルギーについて,改造の基本原理を説明した後,対象機種の例示,改造内容の紹介を経て実機導入結果について紹介する。
実機導入結果の紹介では,北米での導入結果2例を使って紹介する。製品品質の向上から省エネルギーにいたる具体的な実例として典型的な内容となっている。
リファイナーにおける消費動力は,製紙機械設備の中でも特別に大きく,それだけに省エネルギーによる効果も大きなものになる。
もう少し具体的に言えば,既設のDDR型リファイナーをスプライン化改造することで,リファイナー効率を向上し,さらには繊維の特性も向上させることができる。
リファイナー効率の向上は,省エネルギーに直結するのみならず,リファイナープレートの偏摩耗を防止して,プレート寿命を延ばす。繊維特性が向上することも,リファイナー動力の削減,すなわち省エネルギーに直結するメリットである。
改造前と較べて,フリーネスを下げずに所定の強度を達成できることは,良好な脱水性,乾燥の向上など抄紙工程におけるメリットも十分期待できる。
これらの効果は,いずれもリファイナーのスプライン改造により,リファイナー回転ローター前後での圧力均衡が維持される賜である。
電力コストのアップが予測される今日,リファイナーの省エネルギーは最も効果の期待できる,急務の課題であると考える。
海外では既に,GL&V社により数百台の納入実績があり,ここに国内実績が加わったことで,今後の日本国内での普及発展が大いに期待されるところである。

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© 2012 紙パルプ技術協会
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