紙パ技協誌
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総説・資料
歩留剤・澱粉および填料の抄紙機直前のフラッシュミキシングによる生産コストの削減と環境負荷の低減
山崎 光洋ヨウニ マトゥラ
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2012 年 66 巻 5 号 p. 465-470

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抄録

過去数年間にわたり,填料および様々な薬品の添加場所を高濃度原料エリアおよびウェットエンドプロセスの初期段階からヘッドボックス供給エリアのそばに移すコンセプトを継続的に研究および開発してきた。
トランプジェット®フラッシュミキシングプロセスにより,歩留剤やサイズ剤などの抄紙用添加薬品をヘッドボックスのごく近くで原料に注入することができるようになる。また,この多用途の先進的なミキシング技術により,填料を歩留剤と同時にかつ同じ場所でヘッドボックス供給原料にミキシングすることもできる。結果として,プロセスがシンプルになり,反応時間は非常に短くなり,填料のリテンションが上がり,紙品質が向上する。トランプジェット®フラッシュミキシングプロセスと組み合わせると,添加薬品消費量の削減,プロセス内での添加薬品の循環量削減による効率およびプロセス清浄度の向上,非常に早い反応時間,従来型のミキシングに使用されている清水もしくはフィルター水の不使用とエネルギー消費量の削減を目標とすることができる。つまり目標は,機械的手段による化学とプロセスの改善である。
澱粉のフラッシュミキシングもしくは澱粉と填料の同時フラッシュミキシングが開発プロジェクトの最新成果である。これらは,ヘッドボックス供給ポンプ直前および歩留剤ミキシングステージの直前で行なわれる。このプロセスは継続運転中であり,次の結果および削減を実現できている:でんぷん消費量の20%削減,歩留剤消費量の30%~40%削減,品質・地合・脱水性・紙力特性は向上もしくは変化なし,正味のトータル効率が向上。
本稿にて,ミキシングのABCコンセプト―最新の澱粉と填料の添加システムを歩留剤およびサイズ剤のミキシングコンセプトと組み合わせる,これにより,全ウェットエンドプロセスの更なる効率化,簡素化,管理の簡単化の実現について報告させていただく。

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© 2012 紙パルプ技術協会
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