紙パ技協誌
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総説・資料
新規PAM系内添紙力剤
鈴木 洋茨木 英夫
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2012 年 66 巻 5 号 p. 477-480

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抄録

乾燥紙力剤は紙・板紙の紙力を向上させる効果を有するのみならず,濾水性や歩留りも向上させる等の副次的な効果を持っており,製紙産業にとっては欠くことのできない機能性薬品である。特に,ポリアクリルアミド系乾燥紙力剤(以下PAM)は紙力向上効果に最も優れ,取り扱いが容易である。また,抄物や抄紙条件に応じてPAM組成を最適化できるなどの利点により,多種多様な紙種で使用されている。
近年,製紙会社においては生産性の向上やコストダウン,環境負荷の低減や省資源化のため,古紙使用率の増大,抄紙機の高速化,抄紙系のクローズド化,紙・板紙の軽量化や安価な填料の高配合等を推し進めている。このような状況下,従来のPAMでは効果が十分発揮されないケースが増えてきている。
そこで,近年の厳しい抄紙環境においても優れた紙力向上効果を発現するための手法として,
1)PAM構造の高分岐化
2)新規成分の導入
について検討を行った。
その結果,PAM構造を高分岐構造とすることにより,定着,紙力,濾水性,歩留りの向上が確認できた。また,抄紙系内に存在する無機塩の影響も受け難いことが分かった。さらに,新規定着成分を導入することにより,特にPAMの定着に寄与する硫酸バンドを使用しない条件において,PAMの定着,紙力を従来PAMよりも向上させることが可能となった。
本報告において,この新規PAM系内添紙力剤について紹介する。

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© 2012 紙パルプ技術協会
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