紙パ技協誌
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総説・資料
固定オリフィス式スチームトラップによる効果的な省エネルギー保全方法
木村 雅喜
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2013 年 67 巻 10 号 p. 1155-1162

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抄録

紙パルプ産業では,蒸気による間接加熱を行う工程が多く,熱を放出した蒸気はスチームトラップから凝縮水(以下ドレンと称する)として排出されている。スチームトラップが劣化すると,ドレンと共に排出される未使用蒸気(同伴蒸気)が増加する為,工場全体の蒸気消費量は年々増大していく傾向にある。スチームトラップからの蒸気漏洩率については使用条件,保全頻度などによって異なるが,平均ロス率が10%を超えていた例も報告されており,スチームトラップからの漏洩蒸気は,重要な省エネ対象であるといえる。
蒸気ロスを削減する為にはスチームトラップの点検,交換を頻繁に行う必要があるが,大規模工場の場合,スチームトラップが数千台から数万台も設置されているケースもあり,コスト,労力を考えると容易でないことは明白である。このため,通常は,蒸気漏れトラブルが顕在化してからの保全対応となり,それ以前に漏洩していた蒸気については手が付けられていないというのが現状である。
弊社では,従来の消耗品としてのスチームトラップとは異なる劣化部品を持たない「固定オリフィス式スチームトラップ」による,トラップの省エネ保全方法を提案する。
本稿ではその「固定オリフィス式スチームトラップ」の紹介と,新しい保全方法による蒸気漏れロス,メンテナンスコストの削減について紹介する。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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