紙パ技協誌
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省エネルギー特集 I
高岡工場設備改善による省エネ事例
関井 正敏
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2014 年 68 巻 6 号 p. 633-637

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抄録

高岡工場は,常用2缶2機の自家発電設備・木質ボイラ・廃棄物焼却炉廃熱ボイラ・購入電力により工場のエネルギーバランスが形成されている。高岡工場では次世代における環境負荷の低減に注力する一方,省エネルギー活動を起点とした化石燃料・CO2削減やバイオマスエネルギーの有効利用,更には,枯渇する資源に着目した古紙・木材資源の利用によるコスト削減が推進されている。今回は,その中でも動力プラントの見直しを行い,特に老朽化による能力低下した設備に着目し,改善効果のあった事例を紹介する。
まず,最初は省エネ事例で「デゾルバー熱交換器エレメント詰まり解消による排熱回収」である。スラッジ付着による熱交換器エレメント詰まりが発生し,通煙不良による熱回収量の低下がみられた。恒久対策として,熱交換器エレメントの設計を変更し更新した。それにより排熱回収量が増加し,109.4kl/月のC重油削減と328.1t―CO2/月のCO2削減効果を得ることができた。
次は,コスト削減事例で「タービン振動改善による発電機出力低減」である。問題点としては,発電機出力を低負荷にすると振動が増大する為,出力を下げられず夜間買電を有効利用できない状態であった。更に,定期事業者検査に於いてタービン~減速機間のセンターリングで面倒れがメーカー管理値をわずかに逸脱した。恒久対策として,カップリング改造工事を実施したことで,発電機出力低負荷時において振動の増大がなくなり,夜間買電を有効利用することができた。それにより,29,000千円/月のコスト削減と869.3t―CO2/月のCO2削減を図ることができた。

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