紙パ技協誌
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68 巻, 6 号
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省エネルギー特集 I
  • 鈴木 裕
    2014 年 68 巻 6 号 p. 607-608
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
  • 濵田 浩晃
    2014 年 68 巻 6 号 p. 609-615
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    地球温暖化防止対策が急務となっている昨今,日本製紙グループでは「グリーンアクションプラン2015」で,
    1)化石エネルギー起源CO2排出量を1990年度比で25%削減する
    2)化石エネルギー使用量を1990年度比で30%削減する
    という2つの総量目標を掲げている。
    このような中で,白老事業所でもさまざまな省エネルギー対策を実施しており,2013年5月に1号新エネルギーボイラー(以後:1Bと表記)排ガスラインにガス式給水加熱器(以後:GWHと表記)を導入した。このGWHは,耐硫酸腐食型で,メーカーはスイスのエアーフローリッヒ社である。この設備を導入して排熱回収を強化し,脱気器蒸気の削減による省エネルギーを実現した。
    本報ではこのGWH設置導入による省エネ事例について紹介する。
  • 角 庸輔
    2014 年 68 巻 6 号 p. 616-620
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    弊社は国内外の重化学産業を中心とした分野においてピンチテクノロジーを用いた理論省エネ余地解析を実施してきた。ピンチテクノロジーは,熱力学的な観点から工場の理論省エネ余地を把握するための熱利用解析技術であり,Rカーブ解析とSSSP解析との2つの解析手法により構成されている。
    Rカーブ解析ではユーティリティーシステムに注目し,その構成と効率の観点から省エネ余地を把握する。一方,SSSP解析では工場の加熱・冷却用役の適正配分と排熱回収の可能性に注目して省エネ余地を把握する。これらの解析実施により,詳細な省エネ検討を実施する前に,工場の理論省エネ余地と省エネの方向性を把握できるため,効率よく体系的に省エネ検討を進めていく事ができるという特徴を持っている。又,その汎用性から様々な産業分野での適用が可能である。
    弊社が提供するピンチテクノロジーを用いた理論省エネ余地解析の最大の特徴は,その解析が工場の理論省エネ余地の把握に止まることなく,具体的な省エネプロジェクト案の創成から設計・調達・施工までを全てパッケージで提供できる点である。エネルギー多消費型である紙パ産業においてもピンチテクノロジーの導入が普及し,一層の省エネ対策が講じられる事を期待する。
  • 中谷 聡, 武佐 一夫, 浦辺 幸雄, 秋田谷 昌晃, 小野寺 仁, 鈴木 孝人, 椛澤 純, 斎藤 秀典
    2014 年 68 巻 6 号 p. 621-624
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    抄紙工程における水・エアー等のユーティリティはこれまで安定供給が最優先され,一般的にある程度の余裕を見込んだ能力設計がなされているものと考える。
    今回,苫小牧工場にて抄紙機省エアーの取組を行うにあたり,「状況に応じて・必要な箇所に・必要な圧力を・必要な流量で」供給するという基本姿勢に立ち,従来の発想からの転換をポイントに対策を行った。
    その過程においては,ソフトニップカレンダー制御エアー圧の低下によるカレンダー分離,エアー圧低下によるエアシリンダー作動不良など,いくつかのトラブルも発生したが,都度原因の究明と対策による改善を図り問題を解決することができた。
    その結果,大規模な設備停止を伴わずに定格125kWレシプロコンプレッサーの常時1台停止することが可能となり,大きな成果を上げることができた。
    本稿では,省エアーに向けた具体的な取組事項とその際生じた問題点,問題を克服すべく行った対策事項について報告する。
  • 天野 五輪麿, 國領 繁光, 松本 啓吾
    2014 年 68 巻 6 号 p. 625-628
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    石炭焚きボイラは1979年の第2次オイルショック以降燃料の多様化を図るために発電事業用及び産業用のボイラに広く使用されるようになった。将来を通して安定した供給が見込まれる石炭を燃料としたボイラはCO2排出量を低減するため,その性能の向上が求められるようになった。
    産業用ボイラにおいてはユーティリティとしてボイラから発生させた蒸気を使用する場合が多く,蒸気条件に依存しない燃焼排ガスのNOx,灰中未燃分特性を改善することで効率を向上させる必要があった。一般的にNOx排出濃度を低減すると灰中未燃分は増加し,ボイラ効率は低下する。そのため,NOx,灰中未燃分を同時に低減させるバーナの開発がこれまでも行われてきた。しかしながら従来型低NOxバーナではNOx,灰中未燃分低減に限界がある。
    そこで従来型低NOxバーナにおけるNOx,灰中未燃分の発生メカニズムを解析し,
    (1)ノズル前面に広く均一な着火面の設定
    (2)最適な位置かつ最適量で二次空気を混合
    (3)NOx発生要因となる外炎部の高温高酸素領域を低減
    (4)石炭内部に存在する還元物質(揮発分,チャー)によるNOxの効果的な還元と同時に未燃分燃焼促進
    という4つのコンセプトに基づき,新型低NOxバーナを開発した。この新型バーナを産業用ボイラに適用することで従来型低NOxバーナよりNOx及び灰中未燃分がそれぞれ約25~30%低減できることを確認した。
  • 中村 仁
    2014 年 68 巻 6 号 p. 629-632
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    抄録燃料価格の高騰により収益改善が急務となってきている昨今,更なる省エネルギーへの取り組みが重要となっている。
    当工場発電係では隣接のA社に蒸気を供給しているが,ボイラーで発生した6.86MPaの高圧の過熱蒸気を1.20MPaまで減圧・減温して供給しているためエネルギー損失が大きいという問題がある。
    このような状況下で,他職場である廃燃ボイラーの発生蒸気圧力がA社供給圧力に近いことから,この蒸気を直接供給することが出来ればエネルギー損失を抑えコストの削減が可能ではないかと考え,職場の枠を超えた検討を進めた。
    結果,廃燃ボイラーのアキュームレーター出口圧力を変更し中圧蒸気ラインを新設することで,減圧によるエネルギー損失はほぼ解消することができ,また,蒸気供給先を振り替えたことで発電電力の増加に繋がり,コスト削減に寄与することができた。
    コスト削減以外の点でも本稿で紹介する中圧蒸気ライン圧力制御の変更による様々な効果が確認された。
    本稿では,省エネ効果を中心に新たな制御方法についても合わせて紹介する。
  • 関井 正敏
    2014 年 68 巻 6 号 p. 633-637
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    高岡工場は,常用2缶2機の自家発電設備・木質ボイラ・廃棄物焼却炉廃熱ボイラ・購入電力により工場のエネルギーバランスが形成されている。高岡工場では次世代における環境負荷の低減に注力する一方,省エネルギー活動を起点とした化石燃料・CO2削減やバイオマスエネルギーの有効利用,更には,枯渇する資源に着目した古紙・木材資源の利用によるコスト削減が推進されている。今回は,その中でも動力プラントの見直しを行い,特に老朽化による能力低下した設備に着目し,改善効果のあった事例を紹介する。
    まず,最初は省エネ事例で「デゾルバー熱交換器エレメント詰まり解消による排熱回収」である。スラッジ付着による熱交換器エレメント詰まりが発生し,通煙不良による熱回収量の低下がみられた。恒久対策として,熱交換器エレメントの設計を変更し更新した。それにより排熱回収量が増加し,109.4kl/月のC重油削減と328.1t―CO2/月のCO2削減効果を得ることができた。
    次は,コスト削減事例で「タービン振動改善による発電機出力低減」である。問題点としては,発電機出力を低負荷にすると振動が増大する為,出力を下げられず夜間買電を有効利用できない状態であった。更に,定期事業者検査に於いてタービン~減速機間のセンターリングで面倒れがメーカー管理値をわずかに逸脱した。恒久対策として,カップリング改造工事を実施したことで,発電機出力低負荷時において振動の増大がなくなり,夜間買電を有効利用することができた。それにより,29,000千円/月のコスト削減と869.3t―CO2/月のCO2削減を図ることができた。
総説・資料
  • ―ブラジルHergen社製―
    松下 淳, 井出 丈史
    2014 年 68 巻 6 号 p. 638-643
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    ティッシュ,トイレットペーパーの生産工程において,ヤンキードライヤーはその心臓部ともいえる重要な役割を果たしている。従来鋳鉄製であったヤンキードライヤーを,材質をスチールに変えることで,これまで鋳鉄製で直面してきた材質による不具合を解消し,かつ,熱伝導効率の大きな改善によって増産・増速効果を得られることが判ってきた。
    そのような状況下,Hergen社の独自の斬新な設計と徹底した製造管理によって製造されたスチールヤンキードライヤーが,納入客先においてより大きな省エネ(増産)効果を実現している。
    本稿では,スチールヤンキードライヤーの詳細な特徴とその効果を紹介する。
    以下に主な特徴の概略を挙げる。
    <スチールヤンキードライヤーの主な特徴>
    ・最大操作圧はヤンキードラムの寸法に関係なく10bar。スチール構造により,爆発のリスクが無い。
    ・ニップロードは90~120kN/mである。
    ・高いメタル溶射技術による硬いシェル表面強度を実現している。
    ・高い幾何学的精度と安定した製造工程が,スチールヤンキードライヤーを高速で運転して生産することを可能にしている。
    ・製造と品質管理は,ASME並びにPED規準に準拠している(注:ASMEとはアメリカ機械工学会が制定したボイラー等の圧力容器などに関する規格。PEDとは欧州連合が制定した圧力機器指令)。
  • 第2部:フォードリニヤー抄紙機の発展
    飯田 清昭
    2014 年 68 巻 6 号 p. 644-653
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    第1部で紹介したドンキンの抄紙機は,種々の改良が加わり,ヘッドボックスからリールまでが連続化されたものになる。さらに,大型化,高速化が進み,1900年頃には ワイヤー幅160インチ,抄速600フィート/分にまでなった。その過程で,要となった技術と人々を紹介する。
    この発展には,社会全体の技術基盤が整い,それが新しい技術開発を生み,その技術がさらに技術基盤のレベルを上げる好循環が働いていた。
    例えば,抄紙機の大型・高速化には高馬力の動力(水車)が必要であり,それを満たすタービン水車が開発されていた。タービン水車の開発には,それを可能にする金属加工技術の向上があり,それには工作機械の開発や部品の共通化等の技術基盤の確立があった。
    そして,生産性を上げ,コストが安くなった紙は,情報を効率的に伝え,次の技術基盤のレベルアップに大きく寄与していたと推測する。
  • 2014 年 68 巻 6 号 p. 654-659
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
シリーズ:大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (99)
研究報文
  • 張 翼, 中川 明子, 大井 洋
    2014 年 68 巻 6 号 p. 664-670
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    これまでに,タケ稈アルカリ性サルファイトパルプの酵素的加水分解における糖化率は,カラマツ材パルプとセルロースろ紙の糖化率よりも大きいことが示されている。パルプの残留リグニンと糖化の挙動を調べるためには,酵素的加水分解後のリグニン含有量を精確に定量することが重要である。これらのパルプ中の加水分解と残留リグニンの挙動を調べるために,酵素的加水分解後のリグニン含有量を精確に定量する方法について検討した。
    リグニン定量で広く使用されている方法の一つであるアセチルブロミド法は,タケ稈パルプ中のキシランが反応によって紫外吸収を増加させるために,リグニン定量の値に影響を与えること,また,水の含有量も紫外吸収に影響を与えることが示された。この方法をタケ稈パルプ中のリグニン含有量の定量に適用することは難しい。一方,熱分解ガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリーを用いて酵素加水分解後のパルプのリグニン含有量を精確に評価できることが示された。
    タケ稈アルカリ性サルファイトパルプとソーダパルプは酵素的加水分解において,セルロースろ紙よりもグルコース生成量が高く,残さ率は低いことが示された。酵素糖化残さ中のリグニン含有量を定量したところ,アルカリ性サルファイトパルプは酵素的加水分解が進むにつれてリグニン含有量が減少した。一方,ソーダパルプでは酵素的加水分解中のリグニン含有量は,ほぼ一定であった。また,酵素糖化の過程で溶出したリグニンはタケ稈パルプの酵素糖化率を高める効果を有することが示唆された。
  • Yi Zhang, Akiko Nakagawa-izumi, Hiroshi Ohi
    2014 年 68 巻 6 号 p. 671-678
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    Previous research has shown that bamboo stem alkaline sulfite pulp is enzymatically hydrolyzed with a much greater enzymatic saccharification ratio than larch pulp and cellulose filter paper. In order to investigate the residual lignin and saccharification behavior of pulp during enzymatic hydrolysis, it is necessary to precisely determine the lignin content of the pulp after enzymatic hydrolysis. To investigate the behavior during enzymatic hydrolysis and the residual lignin of these pulps, methods that can precisely determine the lignin content after enzymatic hydrolysis were considered. One of the widely used methods for determining lignin content is the acetyl bromide method, by which it was shown that the xylan in bamboo pulp affected the determination of the residual lignin due to the UV absorption by the reaction products. Furthermore, the amount of water in the reaction system also affected the UV absorbance. The application of the acetyl bromide method to bamboo alkaline pulp is difficult. On the other hand, using a pyrolysis-gas chromatography⁄mass spectrometry method, the lignin content of the pulp after enzymatic hydrolysis can be precisely estimated.
    It was shown that bamboo alkaline sulfite and soda pulps produced much more glucose than cellulose filter paper during enzymatic hydrolysis, and the residue ratios were found to be low. The determination of the lignin content of the residue after enzymatic hydrolysis showed that the lignin content decreased as the enzymatic hydrolysis of the pulp proceeded. Conversely, the lignin content of the soda pulp during enzymatic hydrolysis was almost constant. It was also suggested that lignin dissolved from bamboo pulp during the enzymatic hydrolysis enhanced the enzymatic saccharification ratio.
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