2017 年 71 巻 1 号 p. 70-73
近年,環境に対する企業活動の重要性が求められており,我が社でも環境への取組みを最重要課題として「エコチャレンジ020」という環境目標を策定し,2020年度までに1990年度比CO2排出量を32%削減することを目標に,継続的な活動を推進している。このような背景の中,尼崎工場では老朽化が進んでいた発電設備の更新について検討を重ね,ガスタービン発電設備の2基増設に至った。選定理由として,CO2排出量の削減,抄紙機の稼働に合わせた柔軟な運転が可能なこと,ガスタービン発電設備の運転実績があったこと,設置スペース及び発電設備におけるリスクの分散化がポイントとなった。
設備導入前の試算では,年間のCO2排出量を約4,500t削減できる計画としていた。2016年1月末より本運転に入り,今日まで順調に稼働し,CO2排出量は5か月で約2,300t削減と試算を上回る結果となった。試算時の想定より,蒸気原単位の改善と大気放出蒸気量の削減が,燃料原単位の良化に大きく起因している。蒸気原単位の改善については,各抄紙機乾燥用に送気していた蒸気条件が変わったことで良化した。大気放出蒸気量の削減については,蒸気量を調整するシステムが変わったことと,その調整操作にシーケンスを組んだことが,大きな要因となっている。
本稿では,ガスタービン発電設備の概要とこの操業経験に関して報告する。