サルコペニアは本邦の慢性肝炎患者の約30%,肝硬変患者の約40%に認められる合併症である.近年,サルコペニアは日常生活動作や生活の質に関わるだけでなく,肝発がんや患者予後にも関わる重要な病態であることが明らかになっている.慢性肝疾患患者におけるサルコペニアは,加齢に加えて低栄養状態,アミノ酸インバランス,高アンモニア血症,性腺機能低下,身体活動量の低下などさまざまな要因が関与するため,多角的な治療が重要と考えられる.本稿では,慢性肝疾患患者におけるサルコペニアに対する栄養・運動療法と薬物療法について概説する.また,現在臨床試験が進行している新規治療薬についても合わせて論述する.