紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
総説・資料
日本の製紙産業の技術開発史:第二次世界大戦以後
第5回 新聞・印刷紙への古紙利用(その2)第2次古紙利用の拡大
飯田 清昭
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 71 巻 10 号 p. 1182-1189

詳細
抄録

2000年頃になると,循環型社会の概念が定着,国の政策として3R(Reduce,Reuse,Recycle)が推進され,COP京都議定書を受けたLCA評価の導入,国際的な森林認証制度の広がり等で,古紙利用のさらなる拡大がはかられた。結果として,フローテーションに高濃度分散,高白色度漂白を加えて,DIPを印刷用紙に使用できる技術を開発,新聞用紙への配合が80%にまでなり,印刷・情報用紙の分野でも,パルプ原料ベースで,DIP使用率が20%近くになったと推定される。結果として,2010年には,古紙利用率が65%にまで上昇した。これは,市場での品質要求が厳しくなり,一方で,原料古紙の品質が変わり続ける中で,脱墨技術のみならず,紙生産設備の改善等の複合的な技術開発により可能となった。

また,これだけ大きな原料転換は,チップの供給にも影響し,メカニカルパルプ用の輸入針葉樹チップの減少,LBKP用の広葉樹チップ(輸入および国産)の減少となった

次号では,世界での古紙利用を概説する。

著者関連情報
© 2017 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top