2017 年 71 巻 10 号 p. 1182-1189
2000年頃になると,循環型社会の概念が定着,国の政策として3R(Reduce,Reuse,Recycle)が推進され,COP京都議定書を受けたLCA評価の導入,国際的な森林認証制度の広がり等で,古紙利用のさらなる拡大がはかられた。結果として,フローテーションに高濃度分散,高白色度漂白を加えて,DIPを印刷用紙に使用できる技術を開発,新聞用紙への配合が80%にまでなり,印刷・情報用紙の分野でも,パルプ原料ベースで,DIP使用率が20%近くになったと推定される。結果として,2010年には,古紙利用率が65%にまで上昇した。これは,市場での品質要求が厳しくなり,一方で,原料古紙の品質が変わり続ける中で,脱墨技術のみならず,紙生産設備の改善等の複合的な技術開発により可能となった。
また,これだけ大きな原料転換は,チップの供給にも影響し,メカニカルパルプ用の輸入針葉樹チップの減少,LBKP用の広葉樹チップ(輸入および国産)の減少となった
次号では,世界での古紙利用を概説する。