紙パ技協誌
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省エネルギー特集 I
ボイラ用水処理薬品によるエネルギーの有効活用
青木 孝司
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キーワード: U4ボイラ
ジャーナル 認証あり

2018 年 72 巻 6 号 p. 604-610

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抄録

国内の工場においては,積極的な省エネルギー活動に一貫して取り組んでおり,計画的な設備投資のもと,高効率機器の導入などを採用している。特に,使用エネルギーに占める蒸気用の燃料に占める割合は大きく,蒸気原単位削減の要望が強い為,高効率ボイラやエネルギーの回収設備導入が進んでいる。

水処理が省エネルギーに寄与できる課題としては,スケール障害防止の対応,ブロー削減に関する対応,復水回収量の向上への対応がある。これらは主に水の純度が低い軟水を給水とする蒸気圧力が2MPa以下の低圧ボイラ設備で,改善の余地が大きい。

ボイラに付着するスケール(ボイラに供給される水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオン,シリカ,鉄などの成分が析出し,ボイラ内に付着したもの)は,熱交換を阻害するとともに設備での様々な障害の原因となるため,スケールの付着を防止して熱効率や設備の耐久性を維持する水処理薬品が欠かせない。しかし,分散効果のみを有する従来の薬品素材では,ボイラ缶内の硬度成分が薬品の処理能力を超えた場合はスケールとなり,水管に付着したスケールを別途除去処理する必要があった。

この課題に対して弊社は,スケールの分散だけでなく除去効果を併せ持つ新規素材の開発を行った。新規多機能ポリマー(ドリームポリマー®)はボイラ内のスケール成分を良好に分散させ付着を防止することはもとより,スケールが付着した場合でも素早く,効果的に除去できる特徴を有する。本新規ポリマーは,ボイラの伝熱面を常に清浄な状態に維持し,高効率ボイラの性能維持や安定運転の実現を通じて,各工場の省エネルギーに貢献することができる。

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