紙パ技協誌
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音響と応力によるソフトネス測定の最新情報
谷川 和美
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キーワード: Q0その他
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2024 年 78 巻 4 号 p. 288-291

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抄録

ティシュー等の紙製品の手触り感,柔らかさは顧客が直接評価でき,その製品が選ばれる上で重要な因子であるが,手触り感評価は多くの場合,人が実際に触ったときの感触で評価し数値化している。しかし人による評価は主観的で個人や性別,国柄,天気や気分にさえ影響を与えるものであり,客観的に評価できる装置が望まれている。独国emtec社製のソフトネス測定装置 TSAは,手触り感を評価する装置である。音響と応力を測定することで,“本当の柔らかさ”,“滑らかさ/粗さ”,“剛性/柔軟性”の3つのパラメータを得ることができ,さらにこの数値から実際の手触り感と相関を持たせたアルゴリズムにより得られるハンドフィール値(HF値)を得ることができ季節や天気に左右されずに人の手の評価をシミュレーションすることができる。さらに不織布等をターゲットとした新しい測定法が開発された。従来の方式では細孔の大きなサンプルでは音響測定の感度が悪い問題があったが,プラスチックフィルムをサンプルの下に敷くことでサンプル間の細孔度の差の影響をなくし十分な感度で音響測定を行うことが可能となった。TSAを用いることで天気やパネリストの気分の差に左右されず客観的に手軽に評価でき,工程間にも取り入れることが可能なため品質改善,工程管理,開発にも役立つことが期待される。

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