1996 年 50 巻 12 号 p. 1715-1721
コーターマシーン運転速度の高速化に伴い, ガス赤外線ドライヤーの必要性が認識され, また実際に近年の高速コーターには, ほとんど全てガス赤外線ドライヤーが使用されている。従来のエアードライヤー及びシリンダードライヤーのみでは, コーターの高速化に伴い, 全体長も必然的に長くなってくる。ガス赤外線ドライヤーは, エアードライヤー, シリンダードライヤーに比べ高いエネルギー密度を持つため, 全長を押さえることができる。塗料の乾燥を全てガス赤外線ドライヤーで行っている例もある。
また, バインダーマイグレーションによって生じるモットリングを防ぐ効果もある。バインダーマイグレーションは, 塗料が原紙に塗布された瞬間から始まる。これは, 塗料濃度がゲルポイント (約76%固形分濃度) に達するまで続く。高いエネルギー密度を持つガス赤外線ドライヤーをコーターヘッド直後に使用し, 出来るだけ早くゲルポイントに達することにより, モットリングの問題を防ぐことができる。
また, 高速メータリングサイズプレス後でのガス赤外線ドライヤーとエアーターンの組合せによって, シリンダードライヤー上への塗料の付着を防ぐ方法がポピュラーになってきている。やはり, ガス赤外線ドライヤーが高い乾燥能力を持つが故に, 有効な手段といえる。
今後, 高速コーター, 高速メータリングサイズプレス後のガス赤外線ドライヤーの使用が増えていくと思われる。