紙パ技協誌
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世界の塗工紙技術動向
宮本 健三
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2000 年 54 巻 8 号 p. 1077-1096,032

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抄録

世界の塗工紙技術動向を先ず「塗工紙グレードの動向」,「塗工機械の動向」,「顔料の動向」,「ラテックスの動向」の観点でレビューした。重要な技術課題は塗工速度の高速化, 高白色度化, 軽量化である。塗工速度は既に1,850m/分が達成されており2-3年内には2,000m/分の設備が実現するであろう。高白色度化は炭酸カルシウムの比率を更に増大させていく。新たな塗工機械と形状や粒径の制御された顔料の適用が軽量塗工と良好な被覆性をもたらすと期待されている。次いで地域別の特徴をレビューした。
米国では塗工紙製造の低収益性により投資意欲が少なく大型の新鋭設備の設置がみられず, 処方検討によりコストの低い新規グレードを開発することに注力している。一方, 欧州では新鋭設備の導入を積極的に進めている。処方的には炭酸カルシウムの比率が更に高まると共にタルク等の高アスペクト比顔料の使用が増大している。
韓国においては最大の市場が国内ではなく中国であることが注目される。韓国の各メーカーはLWC製造の新鋭設備導入を計画している。最後に塗工紙の将来へのIT革命の影響に触れた。IT革命が塗工紙の将来にどのような影響を与えるかは様々な議論があるが, ペーパーライクなフィルムディスプレイの開発は急速に進んでおり現在の予測より大きな影響を与える可能性がある。

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