2003 年 57 巻 6 号 p. 811-817,020
近年, 古紙配合が増えてきた。しかし, 品質上一定量の機械パルプは新聞紙に配合されている。TMPの難点はエネルギー消費の多いことである。RTSTMメカニカル・パルプ製造システムはアンドリッツ社が開発した新しい低滞留時間, 高温, 高速の省エネルギーTMP製造法である。パルプ品質は従来のTMPと同等以上が得られる一方, 動力消費は15-17%節減される。
米国南部のパルプ工場の2系列のTMPパルプラインを使って, 従来型TMPとRTSTMのリファイニング比較トライアルを実施し, 南部産パイン材パルプの品質及びエネルギー消費量を比較検討した。フリーネス及びハンドシートによる物理特性が同等になるように従来TMPおよび新RTS法でメカニカルパルプを製造した。RTSTMの電力原単位は, 従来のTMPより, 15-17%少なかった。平均繊維長に差は見られなかったが, Bauer McNett分配による繊維分級重量分布を比較すると, 中間分級 (48/100) の繊維重量は, RTSTMの方が従来TMPより多かった。カレンダー仕上げ新聞用紙の比較では, RTSTMの方が従来TMPより, 良好な平滑度を示した。これは, RTSTMパルプ中の繊維長が短いことに関連する。新聞用紙の通気性を測定したところ, RTSTMパルプの方が, 若干低いポアサイズ分布を示した。しかしながら, 標準的印刷特性テストではRTSTMパルプと従来TMPパルプの新聞用紙に差は見られなかった。