抄録
ペプチド性細胞成長因子であるAcidic Fibroblast Growth Factor(aFGF)は、心臓組織に多量に存在することが知られているが、心臓における生理的役割や病態との関連性についてはまだよくわかっていない。本研究は、冠状動脈を結紮して心筋梗塞を誘起した心臓において、aFGFに対する特異抗体を用いてaFGFの産生と組織分布を免疫組織化学手法により継時的に調べた。
梗塞手術後48時間では、aFGFは虚血部分に多くみられ、正常心筋や壊死組織では変化はみられなかった。梗塞後1週間経過では、aFGFは虚血部分に新しく形成された管腔状の毛細血管に多くみられた。梗塞3週間後には、間質中の結合織の再生が著しく起こる一方、aFGFの産生は有為に減少した。さらに梗塞4週間後には、aFGFの産生はほとんどみられなくなった。aFGFは虚血状態にある心臓の血管内皮綱胞の増殖や毛細血管形成時期に多量に生産され、その結果虚血部分の心筋組織の修復と機能改善に役立っているものと推察される.