専門日本語教育研究
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学術論文の序論作成指導におけるムーブ分析の応用
永井 敦柳本 大地
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2021 年 23 巻 p. 43-50

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抄録
 本稿は、ジャンル分析に基づく日本語論文の機能的特徴を探る近年の研究の知見をふまえた、日本語論文作成指導の実践を記述したものである。John M. Swalesの「ムーブ」と「ステップ」を概念的な枠組みとしつつ、本研究では、日本語学術論文にムーブ分析を応用した先行研究をもとに、日本語学術論文作成指導を行う授業実践を行った。具体的には、日本の大学において、学習者に学習者にムーブ/ステップ概念を教える日本語授業科目をオンラインで実施した。授業設計にはインストラクショナルデザインの理論を用い、学習者が実践の前後に作成した論文の序論を、ルーブリックを用いて評価することで、教育実践の効果検証を行った。6名の学習者が作成した日本語学術論文の序論を評価した結果、教育実践の前後で、全ての学習者において、序論の質の向上が見られた。これには学習者が、ムーブ/ステップ概念を序論作成に積極的に利用したことが大きく貢献していることがわかった。また、本実践を通じて学習者が作成した日本語論文の序論では、論理、言語、形式・文体面においても、質の向上が見られた。
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