Journal of Traditional Medicines
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Inhibitory effects of Senkyu-chacho-san and Cnidii Rhizoma on catechol-O-methyltransferase
Atsushi KATOJunko FUKUTAKEHaruhisa KIZUNaoki ASANOIsao ADACHI
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2004 年 21 巻 1 号 p. 34-38

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抄録
パーキンソン病治療に汎用されている漢方薬のカテコール -O-メチル基転移酵素 (COMT) に対する阻害効果を検討した。 測定した 6 種の漢方方剤のうち, 川茶調散と抑肝散に阻害活性が認められ, 200μg/ml 添加により, それぞれ89.8 %, 59.2 % の阻害活性を示した。 川茶調散の構成生薬に着目し同様の測定を行ったところ, 川に強い阻害活性が認められ, 20 μg/ml 添加により 75.9 % の強い阻害活性が見られた。 また香附子と荊芥にも中程度の阻害が認められた。 パーキンソン病に用いられる方剤の多くは, 四逆散や芍薬甘草湯に代表されるように芍薬と甘草をベースとするものが多いが, 芍薬と甘草には顕著な COMT 阻害活性は認められなかった。 川から活性成分の単離を試みたところ, 阻害物質として ferulic acid, sinapic acid, 5-hydroxyferulic acid および chlorogenic acid が単離できた。 このうちメタ位に水酸基が配位している 5-hydroxyferulic acid と chlorogenic acid には, 比較的強い COMT 阻害活性が認められた。 また, 5-hydroxyferulic acid は Lineweaver-Burk Plot を作成して検討した結果, 拮抗型の阻害様式を示した (Ki=43.2μM)。 以上の結果から, 川茶調散はパーキンソン病治療にあたり脳内 L-DOPA あるいは dopamine レベルを増加させる可能性が示唆された。
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© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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