抄録
漢方薬は 2000 年以上前から腎疾患に用いられてきた。 しかし, 生化学的, 病理学的な検討は始まったばかりである。 大黄あるいは大黄含有方剤である温脾湯の報告はあるが, これらは腎不全の進行を抑えるだけで, 腎機能を改善するわけではない。 一方, 西洋医学的にはクレメジンや低蛋白食療法などが行われているが, これもクレアチニンを低下するまでには至っていない。
今回我々は, 血清クレアチニンが 1.5mg/dl 以上の患者 28 例に養腎降濁湯を投与したところ, 6ヶ月後のクレアチニン値の平均は 3.9mg/dl から 3.5mg/dl に有意に改善した。 養腎降濁湯は, 腎不全の基礎疾患に関わらず有効であった。 また, 重篤な副作用も認めなかった。 養腎降濁湯は腎不全の第一選択薬となりうる。