The Journal of Toxicological Sciences
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新規頻尿・尿失禁治療剤 (±)-4-diethylamino-1,1-dimethylbut-2-yn-1-yl 2-cyclohexyl-2-hydtoxy-2-phenylacetate monohydrochloride monohydrate (NS-21) のラットにおける甲状腺機能充進の機序
石橋 成太良中沢 素邦俵谷 武治吉田 勝田村 博信安達 孝浩河口 和寛岩倉 啓子鷲見 信好若林 克己
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1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 187-199

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抄録
NS-21のラット甲状腺機能亢進の機序解明を目的として500mg/kgの投与量で13週間の反復経口投与を行った結果, 肝ミクロソーム中のT4UDP-GTの増加, 血清中totalT4およびfeeT4の減少ならびにTSHの増加が投与10日目および13週目で同程度に認められた。形態学的には甲状腺の機能亢進像も観察された。T4を補うことで甲状腺の機能先進が抑制されるか否かを検討する為, 15μg/animalをNS-21と同時投与した結果, 肝ミクロソーム中のT4UDP-GTは増加したが, 血清中totalT4およびfeeT4の減少はみられなくなり, TSHはむしろ減少した。また, 形態学的には甲状腺の機能先進像は観察されなかった。以上のことから, ラットにNS-21を投与すると, T4UDP-GTが誘導され, 血中のT4の代謝が先進した結果, 代償性に下垂体からのTSHの分泌亢進が引き起こされ, 甲状腺の機能亢進に至ると推察された。
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© 日本トキシコロジー学会
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