抄録
NS-21を 0, 2, 30 および 500mg/kgの投与用量でCrl:CD系雌雄ラットに交配前および交配期間中, さらに雌ラットには妊娠初期に反復経口投与し, 雌雄ラットの生殖能と胚・胎児に及ぼす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 親動物では, NS-21投与に起因すると考えられる死亡あるいは瀕死期屠殺が500mg/kg投与群の雌雄各1例に認められた。雌雄共に 30mg/kg 以上の投与群で流涎および散瞳がみられ, 500mmg/kg投与群ではラッセル音, 体重増加抑制, 摂餌量の減少および摂水量の増加が認められた。剖検ではNS-21投与に起因すると考えられる変化は認められなかった。2. 生殖能では, 雌雄共に交尾率および受胎率にNS-21投与による影響は認められなかった。性周期および交尾成立までの日数にはNS-21投与による変化は認められなかった。授胎不成立雄の精子検査では, 何れも精子への影響は認められなかった。妊娠末期での帝王切開による検査では, 500 mg/kg投与群で黄体数および着床数の減少が認められたが, 着床前肝損失率には変動はみられなかった。3. 胎児検査では, 500mg/kg投与群で生存胎児数の減少傾向および胎盤重量の増加が認められたが, その他には外表, 内臓および骨格奇形を含め, 胚・胎児にNS-21投与による影響は認められなかった。4. 以上の結果から, 本試験条件下でのNS-21の親動物に対する一般毒性学的な無毒性量は2mg/kg, 親動物の生殖能および胚・胎児に対する無毒性量は30mg/kgと考えられる。