Journal of UOEH
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現代リアリズム児童文学の児童像
片岡 政昭
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1979 年 1 巻 1 号 p. 113-121

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抄録

リアリズム児童文学の中の子どもは, 作家が自分の願いをこめて描いた理想像であるから, 各作家の世界観に注意する必要がある。
次に, 児童像の変遷について考察する。20世紀前半までのリアズム児童文学は, 苦難をのり越えて生長する明るい未来をもった子どもを描く理想主義的, 向日性的リアリズム文学であった。
1960年代にはいると, 子どもに示すべき未来を失った現実の中で, 未来を夢みることなく生きる子どもの姿を描きはじめる。
1970年代, 精神を病んだ子どもをテーマにした作品が現れる。特にE・スペンスの「10月の子ども」は, 自閉症の弟を持つ兄の苦悩を描き, 児童文学が次第に成人文学との差を失いつつあることを示している。

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© 1979 産業医科大学
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