抄録
最近, 1f7/2-領域の原子核(原子番号40以上で中重核)の約5MeV以下での低い励起状態についての情報や, 実験事実が集積しつつある。本論では
(1) この領域の原子核のうち, 奇数質量核から原子核の構造についての情報が得られること
(2) 奇数質量核の励起状態には, 大別して3種類の運動形態があること
(3) 各々の運動形態が出現する領域には, 著しい特徴が存在すること
の3点について議論する。更に, 3種類の運動形態を表現する励起状態の角運動量の順序が, どのような効果によって理解されるか, 微視的観点から論及し, 現象論的模型を導出する。