Journal of UOEH
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関節と音 ―変形性膝関節症に対する臨床応用―
永田 善之
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1988 年 10 巻 1 号 p. 47-58

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抄録
関節から音が生じることは昔から知られているが, その意味についてはほとんどわかっていない. 著者はコンピュータを用いた新しい分析方法を開発し, 膝関節を用い臨床診断に応用したので, その結果を報告する. まず関節から得られた音の平均スペクトラムから関節音響図を求め, その型分類を行った. そして関節の音は, 低周波領域の音と, 高周波領域の音とに分けられ, 骨変化の影響を大きく受けるのは, 低周波領域の音であることがわかった. また正常な膝関節では音と骨変化に関連は見られないが, 変形性膝関節症では音の生じる場合, 音のしない関節に比べて膝蓋大腿関節における内, 外側の骨棘形成, そして脛骨大腿関節における内側の骨硬化, さらに内, 外側の骨棘形成の5箇所で骨変化が有意に進行していた. すなわち, 音の検査は変形性膝関節症の骨変化の程度を推測でき, 診断的価値がある.
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© 1988 産業医科大学
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