抄録
どのようなライフスタイルが将来健康に関与するのかを明らかにするため, 地域住民5,698名のコホートを設定した. 今回はこのうち男性1,005名の断面調査をもとに, ライフスタイルと社会的心理的要因との関連を検討した. ライフスタイルの指標として1)喫煙, 2)飲酒, 3)運動, 4)肥満度, 5)睡眠をとりあげ健康スコアを算出した. 解析は年齢によりグループⅠ(30歳から44歳)とグループⅡ(45歳から59歳)の2群に分け, 上記の関連をパス解析を用いて検討した. グループⅠでは健康スコアに直接的な関連が見られた要因は, 自己健康管理態度と日常生活上の主観的ストレス感であった. グループⅡでは自己健康管理態度のみであった. これらの要因の基盤には社会的支援ネットワークがあると考えられた. これらの結果から, 良きライフスタイルへの変容をめざすには, 個々人の社会的心理的要因を考慮することが非常に重要であることが示唆された.