Journal of UOEH
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石灰化脾嚢腫の2症例
松隈 秀峻鵜木 秀明永松 悠二田岡 賢雄後藤 登
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1988 年 10 巻 1 号 p. 115-122

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抄録
脾嚢腫は比較的稀な疾患であるが, 超音波検査およびCTスキャンの普及により, 術前診断が容易となり, 近年, 症例報告の増加が見られるようになった. 腹部異常石灰化像を発見され, 胃透視・超音波・CT・シンチ・選択的腹腔動脈造影などの検査により, 術前, 石灰化脾嚢腫と診断し得た2症例を経験した. 症例1は5才の頃から嘔吐をくり返していた20才の男性で, 脾亜全摘を施行して類皮嚢腫と診断した. 症例2は3年前から左上腹部の腫瘤を認めていた38才の男性で, 脾全摘を施行して仮性嚢腫と診断した. いずれの症例も嚢腫壁内の石灰化を病理組織学的に確認した. これらの症例は腹部外傷の既往はなかった. 以上2症例の報告に併せて, 脾嚢腫の分類・頻度・成因・症状・診断および治療について, 若干の文献的考察を試みた.
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© 1988 産業医科大学
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