抄録
1987年中に産業医科大学病院で分離されたグラム陰性桿菌の一部について, 6種類のβ-ラクタム系抗生物質, 2種類のアミノ配糖体系抗生物質に対する感受性を, 寒天稀釈法およびパルプディスクを用いた寒天拡散法の2通りの方法を用いて検討した. 画法の結果は大体において良く一致したが, 一部の菌については一致しない場合もあることが認められた. 調べた菌のうち, Escherichia coli, Klebsiella属, Proteus属の多くは, ABPC, PIPCを除くβ-ラクタム系, アミノ配糖体系両方の薬剤に良好な感受性を示した. 一方Acineto-bacter calcoaceticus, Pseudomonas属は調べた薬剤に耐性を示すものが多かった. Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescensの3菌種については感受性菌が比較的多いものの, 薬剤によっては耐性菌の割合が50-100%に達する場合もあることが明らかとなった.