Journal of UOEH
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遅発性スミチオン中毒
郡山 一明芳川 一郎今津 和彦宮本 比呂志荒木 英俊
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1990 年 12 巻 1 号 p. 101-105

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抄録
遅発性スミチオン中毒の1例を報告した. 症例は52才, 男性. 自殺目的でスミチオン乳剤約10mlを焼酎3合とトリアゾラム0.5mgと共に経口摂取後, 意識障害を主訴に入院. 入院後, 意識障害はいったん回復するも, 約40時間後より, 唾液分泌亢進, 筋線維束攣縮といった有機リン中毒に特徴的な症状を認め70時間目には呼吸停止, 心停止をきたした. スミチオンは一般に経口摂取後, 数時間以内に症状が完成すると言われている. 本症例では, 血中スミチオンの経時的変化より, 薬物動態学的に代謝遅延が示唆され, このことが中毒発症の遅延に関わっていると考えられた.
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© 1990 産業医科大学
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