Journal of UOEH
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12 巻, 1 号
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  • 阿部 祐治, 大里 敬一, 中村 弘
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 1-17
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ラット肝切除後の肝再生停止機構に対する肝細胞自身の関与の有無について検討した. 70%切除後の残存肝では, 1日後に急峻なDNA合成のピークが, 2-4日間に急激な重量の増加がみられた. 経時的に肝細胞を分離培養して得られた培養上清のうち, 術後2-4日のものが, 初代培養系で上皮成長因子とインスリンにより誘発される正常肝細胞のDNA合成を抑制した. この抑制活性は, 濃度依存的に作用し, 細胞毒性はなく, S期の肝細胞には効果がなかった. その性状は, 熱および酸処理に安定な蛋白性物質で, 種および臓器特異性に乏しかった. また, 上皮成長因子の肝細胞膜上の受容体への結合を阻害しなかった. その生理的意義は, 初回分裂後の細胞を含むG1期にある肝細胞が, 増殖因子に反応してS期に進行するのを阻止することにあると推測される. 以上の結果から, 肝細胞自身が増殖抑制因子を分泌して, 肝再生過程を自ら制御している可能性が示唆された.
  • 原武 譲二, 山元 修, 久岡 正典, 堀江 昭夫
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 19-28
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    正常ラット肝ならびに胆管の微小血管を, 血管鋳型ならびに走査電子顕微鏡(SEM)を用いて検索した. 血管鋳型は生食水にて灌流後, Mercoxを注入して得られた. 門脈枝は順次二分岐して径を減じ終末門脈から類洞へ注ぐ他, 多数の小側枝を分枝し, これらはしばしば動脈枝を伴わず, 直接類洞へ注いでいた. 胆管周囲には豊富な血管網(PBP)が見られ, 肝動脈からの輸入血管を受け, 門脈枝や類洞への灌流, 門脈周囲血管網との吻合もみられた. 末梢門脈域では, 肝動脈門脈吻合や肝動脈類洞吻合がみられる他, PBPと類洞の吻合もみられた. 肝内血管網は極めて複雑な吻合や分枝を示し, 動脈と門脈によるに二重支配をさらに円滑にしていることが示唆された. 肝外胆管や, 今までに記載の少ないVater乳頭の血管網にも触れ, 若干の文献的考察を行った.
  • 松井 清
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 29-36
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Green函数は今日ほとんどの有限Lie群について与えられるという解釈が一般的である. しかし, 有限体についてみれば, Green函数が現在すべて決定されているというわけではない. Deligne-Lusztig理論はGreen函数をFsg-固定点の個数より求める方法を与える. この方法はすべての有限体に対して可能な方法である. しかしながらFsg-固定点の個数を求めることがほとんど不可能なため, 実際には大きな困難が存在する. よく知られているGLnのGreen函数については, Deligne-Lusztig理論より実際に求められるというLusztigのコメントがあるが, Fsg-固定点の個数に誤りが見られる. ここではFsg-固定点の個数を求める方法を与え, その個数を与える.
  • 田中 勇武, 石松 維世, 東 敏昭, 加藤 貴彦, 秋山 高
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    タバコ受動喫煙による生体影響を調べるための小動物用吸入暴露装置を試作し, その性能をFischer344雄性ラットを用いてテストした. 試作された装置は, タバコ副流煙発生装置と吸入暴露チャンバーとから構成されている. 性能テストのための吸入暴露条件は1日20本(4時間), 1週5日で3カ月間行われた. この間の日平均粒子濃度は10.0±4.3mg/m3, 一酸化炭素濃度は79±22ppmであった. 暴露期間中ほぼ一定の濃度を保って暴露できることが確認されたことから, 試作された本装置は, タバコ受動喫煙による生体影響を調べる装置として有用であると考えられる.
  • 真喜屋 清, 堀尾 政博, 塚本 増久
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 43-52
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    皮下末梢血における糸状虫ミクロフイラリア(Mf)の分布様式を明らかにし, 吸血蚊への取り込み数を検討するために, ネッタイシマカに犬糸状虫感染犬を吸血させる実験を行った. 体表の約50ヵ所を剃毛した感染犬を麻酔して吸血させ, 吸血前後の蚊の体重を正確に秤量することによって, 蚊1匹当りのMf取り込み数と, 単位吸血量1mg当りのMf取り込み密度とを調べた. Mf取り込み密度は吸血部位によって著しいばらつきを示し, 負の二項分布に適合する集中型の分布をするものと推定された. 吸血場所によってはMf取り込み密度に有意差が認められたが, 繰り返し実験では再現性のある結果が得られないことから, 吸血場所間のこの差異は一貫性のあるものではないと推察された. 蚊の吸血量が増加すると, 蚊1匹当りのMf取り込み数が増えるだけでなく, Mf取り込み密度も高くなるのが観察された. 同一の部位で別の蚊に取り替えて吸血させた実験でも, Mf取り込み密度は蚊の吸血量が多い時に高くなるのが認められた.
  • 松田 晋哉, 曽根 智史, 土井 徹, 華表 宏有
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 53-59
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    那覇市内の某産婦人科医院の1978年から1987年までの10年間の分娩記録(4,142件, うちLBW児179件)を資料として, 低出生体重児(LBW児)発現と妊娠前の母親の肥満度(ケトレー指数), 母親の身長および分娩歴との関連性について対数線形モデルを用いて分析した. その結果, ケトレー指数20以下の母親は20より大の母親に比べて1.80倍(95% CI: 1.32-2.43), 身長が150cm未満の母親は150cm以上の母親に比べて1.47倍(95% CI: 1.03-2.12), 初産の母親は経産の母親より1.68倍(95% CI: 1.25-2.28)LBW児の発現が多いことがわかった, また, 対数線形分析の利点として, 通常の単純なモデルでは扱えない3因子以上の多因子間の交互作用が検討できることがあげられるが, 本研究で用いた3因子間にはLBW児の発現に関して交互作用は認められなかった.
  • 森 晃爾, 大西 晃生, 藤代 一也, 井上 尚英
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    雄性および雌性ラットに対し, 250ppmの濃度の酸化エチレンを1日6時間, 週5日, 17週間吸入曝露し, 酸化エチレンに対する末梢神経の感受性の性差について調べた. 雄雌とも曝露群では後肢の反転および失調性歩行を認めたが, これらの異常の程度に明らかな性差は認められなかった. 曝露群では腓骨神経, ヒラメ筋支配枝のときほぐし線維標本および脊髄後索のエポン包理標本において, 有髄線維に軸索変性の所見を認めた. また末梢神経では, 腓骨神経よりヒラメ筋支配枝の方が障害が強かった. しかしこれらすべてで障害の程度には明らかな性差はなかった.以上より, 酸化エチレンに対する末梢神経の感受性には性差がないと考えた.
  • 野口 俊介, 東 監, 川村 越
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 67-75
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    (Na, K)ATPaseは, α, β 2種のサブユニットより成るが, βサブユニットの機能としてこれまで同定されたものはない. そこでβサブユニットの機能を探るため, それぞれのサブユニットに対するmRNA(Torpedo californica由来)をXenopus laevis卵母細胞に注射して各サブユニットを発現させ, それらの性質を分析した. 各mRNAを単独で注射した場合でもサブユニットは合成されたが, それによる(Na, K)ATPase活性の増加はほとんど観察されなかった. ところがあらかじめmRNA βを注射してβサブユニットを合成させた卵母細胞に, 後からmRNA αを注射してαサブユニットを合成させると, (Na, K)ATPase活性の増加が観察された. これは(Na, K)ATPaseの両サブユニットの機能的な会合には必ずしもそれらが同時に合成される必要のないこと, およびβサブユニットはαサブユニットの受容体として機能する可能性を示唆している.
  • 山田 誠二, 馬場 快彦
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    日常の身体活動による消費エネルギー量の容易な測定・推定法の確立を目的として, 加速度計を内蔵したカロリーカウンター(Kenz Calorie Counter)を用いて, 男女20名の大学生をトレッドミルにて運動負荷した際の消費エネルギー量測定を行い, 呼気ガス分析法と比較検討した. カロリーカウンターに内蔵されている加速度計は, トレッドミルの速度変化に伴い加速度指示強度が変化するが, 8km/h以上では指示強度が飽和する傾向が認められた. 4-5km/hのトレッドミル速度における運動の消費エネルギー量はカロリーカウンター法ではガス分析法に比べて, 有意に高い値となった. 安静時から9km/hまでのトレッドミル速度の運動では, 呼気ガス分析法とカロリーカウンター法による消費エネルギー量の両者にはよい相関がみられた. 以上より, カロリーカウンターによって歩行・走行を中心とした日常身体活動の消費エネルギー量の推定力可能であることが示唆された.
  • 山口 直人, 大久保 利晃, 舟谷 文男
    原稿種別: 原著
    1990 年12 巻1 号 p. 83-88
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    成人病健診の期待効果を, 成人病の自然史と疫学的な特徴に基づいて理論的に検討した結果, 健診発見例と症状発見例の比が, 疾病の前臨床期の長さ, 健診間隔および健診の疾病発見能力の3変量の関数として表現でき, 健診効果の継続的モニタリングに有用な指標であることが明らかとなった. この結果を住民健診受診者の追跡調査に応用したところ, 全症例のうち健診発見例は全疾病では15.3%, 高血圧性疾患では43.8%であった. 本方法は健診間隔や検査項目と期待効果の関係から最適な健診プログラムを設計する際に有用である.
  • ― 1剖検報告―
    谷本 昭英, 濱田 哲夫, 兼崎 暉, 松野 康二, 小出 紀
    原稿種別: 症例報告
    1990 年12 巻1 号 p. 89-99
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性砒素中毒症例に見られた多重癌の1剖検例を報告した. 症例は88才の男性で喫煙歴はなく, 47才から54才までの6年間に亜砒酸の精錬に従事しており, 76才時に慢性砒素中毒の診断を受けた. 80才時に右上腹部のボーエン病, 86才時には早期胃癌の手術の既往歴があった. 剖検時には右肺の扁平上皮癌, 右梨状陥凹のポリープを認めた. 光顕的検索では潜在性前立腺癌があり,右梨状陥凹のポリープは偽腺様嚢胞癌と考えられた. 以上既往歴のボーエン病, 胃癌を含めて合計5つの悪性腫瘍を確認した. 慢性砒素中毒症例において, 過去の報告例ではボーエン病や肺癌と砒素の関連を指摘する報告が多いが, 本症例で胃癌, 肺癌, 咽頭癌, 前立腺癌が合併したということは, 砒素暴露が皮膚や肺以外の臓器にも発癌をきたす可能性を示唆するものと思われる.
  • 郡山 一明, 芳川 一郎, 今津 和彦, 宮本 比呂志, 荒木 英俊
    原稿種別: 症例報告
    1990 年12 巻1 号 p. 101-105
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    遅発性スミチオン中毒の1例を報告した. 症例は52才, 男性. 自殺目的でスミチオン乳剤約10mlを焼酎3合とトリアゾラム0.5mgと共に経口摂取後, 意識障害を主訴に入院. 入院後, 意識障害はいったん回復するも, 約40時間後より, 唾液分泌亢進, 筋線維束攣縮といった有機リン中毒に特徴的な症状を認め70時間目には呼吸停止, 心停止をきたした. スミチオンは一般に経口摂取後, 数時間以内に症状が完成すると言われている. 本症例では, 血中スミチオンの経時的変化より, 薬物動態学的に代謝遅延が示唆され, このことが中毒発症の遅延に関わっていると考えられた.
  • 川本 俊弘
    原稿種別: 報告
    1990 年12 巻1 号 p. 107-110
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • -第7回国際免疫学会議に出席して-
    山下 優毅
    原稿種別: 報告
    1990 年12 巻1 号 p. 111-114
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    1990 年12 巻1 号 p. 115-142
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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