抄録
インターフェロン(IFN)は, 抗ウイルス, 抗腫瘍作用と共に, 免疫修飾作用が知られており, ATLに対してもいくつかの臨床報告がなされている. しかしその効果に対し, 現在までに定まった評価は無い. そこで我々はin vitroにおけるIFN α2, β, γ投与時のHTLV-Ⅰ感染能, およびATL細胞増殖能への影響を検討した. その結果, HTLV-Ⅰと共に培養した正常リンパ球において, ウイルス特異抗原の発現をIFNは量依存性に抑制した. また, ATL細胞の自発的な増殖をも量依存性に抑制し, この効果がATL細胞に対し, 直接障害性に働いた結果でないことを明らかにした. このような作用は1-1000U/ml程度で認められ, 臨床上到達可能な濃度であり, ATLに対してIFN投与が有効であることを示している. しかしIFN単独投与に治療抵抗性のケースに対しては, 腫瘍細胞への直接障害効果を補う意味で, 他の抗腫瘍剤との併用療法を考慮する必要があると考えられる.