抄録
77才の男性, 8日間の極めて急性の経過(呼吸器症状出現後4日で死亡した急性間質性肺炎Acute Interstitial Pneumonia(AIP)を経験し, 肺胞隔壁の肥厚および気腔内変化を中心にその組織発生および線維化の分布, 程度について検討した. 肺胞隔壁の肥厚は, septal cellの増殖, 浮腫の他, 特に硝子膜の取り込みが強く関与していた. また, 肺胞から肺胞道内を中心に線維性肉芽組織の形成が見られ, 一部, 呼吸細気管支内にも及んでいた. 線維化は, その程度および状態がどの肺野でも比較的そろっており, さらに肺胞内にMasson体の形成も見られたことから, 短期間の彌慢性高度肺傷害への反応であることがうかがわれる. 本例は, 既往として1年半前にBronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia(BOOP)を発症したが, X線上完全に回復したという経過を持っている. AIPとBOOPの関連性およびその病態を考える上で興味深い症例と思われる.