Journal of UOEH
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カドミウム処理による神経芽細胞腫培養細胞のN-mycおよびMDR(多薬剤耐性遺伝子)のmRNA量の増加
村上 忠正大森 久光加藤 貴彦安部 哲哉東 監
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1991 年 13 巻 4 号 p. 271-278

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抄録
カドミウムは, 発癌性を示すばかりでなく, 中枢神経系に病変を起こすことも報告されている. 神経芽細胞種由来の培養細胞であるGOTO細胞にカドミウム処理をし遺伝子発現への影響をみた. カドミウム投与後, メタロチオネイン, hsp70, hsp90, およびhsp32mRNAの増量がみられ, 熱ショック蛋白質のmRNAは, 6時間でピークを示したが, メタロチオネインのmRNAは, さらに15時間まで増え続けた. これらの条件下でN-mycとMDRl(多薬剤耐性遺伝子)のmRNAも増量し約6時間でピークがみられた. メタロチオネインや熱ショック蛋白質の活発な誘導パターンからみてN-mycやMDRlのmRNAの増量は単にカドミウムによる細胞毒性のため, これらの遺伝子の抑制機構が脱落したためとは考えられない.
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© 1991 産業医科大学
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