Journal of UOEH
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ヒト後脛骨神経刺激による体性感覚誘発電位皮質下成分の起源について
浦崎 永一郎和田 伸一横田 晃時村 俊幸安河内 秀興
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1993 年 15 巻 2 号 p. 113-135

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抄録

後脛骨神経刺激による短潜時体性感覚誘発電位(SSEPs)の起源を求めるために8例の脳神経外科手術中に頚髄, 脳室内および前頭葉皮質下からの直接記録を施行した. さらに各種中枢神経障害患者7例におけるSSEP各成分の変化を検討した. 両側後脛骨神経刺激による正常人10名の検討からは後頸部皮膚上でspinal N28成分が, 頭皮上からは遠隔電場電位のP30, N33成分が皮質電位とされるP38成分とともに記録された. 延髄から中脳にかけての直接記録では潜時を延長させながら上行する陰性電位を認め後索核近傍での陰性の頂点潜時は頭皮上のP30成分にほぼ一致していた. そして後索核より上方では一定潜時の陽性電位に変化していた. さらに橋中部以上では頭皮上N33成分と一致する一定潜時の陰性成分の形成も認められた. 後脛骨神経刺激によるP30, N33成分の時間的空間的分布は正中神経刺激のP14, N18成分とそれぞれ類似していた. 食道内あるいは頸髄からの記録では正中神経刺激のspinal N13成分は頸髄前後で極性が逆転したが, Spinal N28成分にそのような傾向はみられなかった. 疾患群での検討でもP30とP14, N18とN33は相関した変化を示した. 1)N33潜時が延長する際にはN18成分も延長し, 2)P30が消失するとP14成分も消失した. 以上の結果から推察するとspinal N28成分は後索上行電位, 頭皮上P30成分は正中神経刺激のP14と同様の後索核近傍の活動を示す電位で, N33成分は正中神経刺激のN18成分と同様に視床より下方の脳幹を起源とする電位と考えられた.

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© 1993 産業医科大学
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