Journal of UOEH
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15 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 法村 俊之, 今田 肇, 欅田 尚樹, 吉田 直樹, 二階堂 美由紀
    原稿種別: 原著
    1993 年 15 巻 2 号 p. 103-112
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    超強磁場の生物学的効果を, ヒトTリンパ球の細胞増殖能および放射線感受性等を指標として調べた. 末梢血より分離直後のPHA刺激培養下のT細胞は, 6.3T(超伝導磁石)定常磁場への3日間の曝露(通常の培養と同等な温湿度)で, 細胞増殖率が対照培養の約63%に抑制された. 一方, 対数増殖期のT細胞に対しては連続3日間の曝露でも, 対照培養の80-90%と増殖抑制効果は微弱であった. 放射線との複合作用に関しては, 約24時間6.3T磁場に曝露したT細胞の放射線感受性が, D37値で1.3Gyと対照群の1.9Gyに比し高感受性を示し, さらに, 亜致死障害の回復比も対照群の約75%に抑制された. これらの磁場効果は, 4Tの定常磁場でも同様に認められたが, 2Tでは有意な影響は見られなかった. 4-6.3Tの超強磁場でみられた磁場の生物学的効果は, 細胞代謝や酵素活性の阻害など一過性的な機能的変化によるものと思われる.
  • 浦崎 永一郎, 和田 伸一, 横田 晃, 時村 俊幸, 安河内 秀興
    原稿種別: 原著
    1993 年 15 巻 2 号 p. 113-135
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    後脛骨神経刺激による短潜時体性感覚誘発電位(SSEPs)の起源を求めるために8例の脳神経外科手術中に頚髄, 脳室内および前頭葉皮質下からの直接記録を施行した. さらに各種中枢神経障害患者7例におけるSSEP各成分の変化を検討した. 両側後脛骨神経刺激による正常人10名の検討からは後頸部皮膚上でspinal N28成分が, 頭皮上からは遠隔電場電位のP30, N33成分が皮質電位とされるP38成分とともに記録された. 延髄から中脳にかけての直接記録では潜時を延長させながら上行する陰性電位を認め後索核近傍での陰性の頂点潜時は頭皮上のP30成分にほぼ一致していた. そして後索核より上方では一定潜時の陽性電位に変化していた. さらに橋中部以上では頭皮上N33成分と一致する一定潜時の陰性成分の形成も認められた. 後脛骨神経刺激によるP30, N33成分の時間的空間的分布は正中神経刺激のP14, N18成分とそれぞれ類似していた. 食道内あるいは頸髄からの記録では正中神経刺激のspinal N13成分は頸髄前後で極性が逆転したが, Spinal N28成分にそのような傾向はみられなかった. 疾患群での検討でもP30とP14, N18とN33は相関した変化を示した. 1)N33潜時が延長する際にはN18成分も延長し, 2)P30が消失するとP14成分も消失した. 以上の結果から推察するとspinal N28成分は後索上行電位, 頭皮上P30成分は正中神経刺激のP14と同様の後索核近傍の活動を示す電位で, N33成分は正中神経刺激のN18成分と同様に視床より下方の脳幹を起源とする電位と考えられた.
  • 欅田 尚樹, 法村 俊之, 土屋 武彦
    原稿種別: 原著
    1993 年 15 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    在阪の某製造業従業員を対象に1984年度から1990年度健康診断時にTHI(Todai Health Index)質問票を用いて喫煙の健康に及ぼす影響を検討した. その結果, 1)本事業所の男性従業員全体の平均年齢は37歳であり, 喫煙率は’84年度(62.4%)から'89年度(57.2%)までに5%強, 減少した. 以下の解析は, 飲酒の影響を除くために, 全く酒を飲まない244名を除いた男性1260名の回答結果について行った. 2)THI尺度得点では「呼吸器」, 「消化器」, 「循環器」, 「生活不規則性」, 「多愁訴」, 「直情径行性」において喫煙により訴えの増加を認めた. 3)THIの個々の質問項目としては, 咳, 痰, のどが痛む・詰った感じ, 歯をみがくときの吐き気, 食欲不振, 胃痛, 胸やけ, 下痢, 歯ぐきの色が悪い, 口臭, まぶたが重い, 皮膚が痒い, 顔色が悪い, 息切れ, 動悸, 体が熱っぽい, 背中が痛む, 早寝早起きでない, 仕事がきつい, 横になって休みたい, 食事が不規則, イライラするなどの種々の訴えが喫煙により増加傾向を示した. 予防医学の立場からもこれら身近な自覚症状に及ぼす喫煙の影響について, 健康教育等でアピールしていく必要がある.
  • 大西 晃生, 森 晃爾, 郡山 一明, 宮田 正和, 村井 由之, 池田 正人
    原稿種別: 原著
    1993 年 15 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    POMSは産業医学の領域において, 欧米では広く用いられ, 日本でも用いられつつあるが, その日本語訳は確立されていない. 本報告では, POMSの日本語訳を作成し, 日本語訳された56項目の質問内容が, 3学年261名の医学生によってどのような気分を表すと判断されたかを検討した. 原版でその質問項目が表す気分尺度とは別の気分尺度を表すと判断された頻度が20%以上の項目数は3学年平均約20項目で, その多くは「抑うつ-落ち込み」および「緊張-不安」に属する項目であった. 同様に異なって判断された頻度が5%以下の項目は約15項目で, その多くは「活気」に属する項目であった. 日本語訳されたPOMS検査を自動車部品製造工場の106名の従業員に行い, 有機溶媒曝露男女59名において, 尿中馬尿酸値(クレアチニン補正値)と「怒り-敵意」の得点の間に正の相関(P<0.05)を認め, さらに年齢と「緊張-不安」, 「抑うつ-落ち込み」, 「怒り-敵意」, 「疲労」および「混乱」の各々の得点との間に有意な逆相関(P<0.05-0.001)を認めた. しかし有機溶媒曝露者61名と非曝露者45名の間においてすべでの項目の得点に明らかな差を認めなかった. POMS検査は, 有機溶媒曝露者の神経行動学的検査バッテリーの項目の一つとして, 自覚的な心理学的側面を検査する目的で重要と判断される.
  • 吉田 泰憲, 岡村 健, 江崎 卓弘, 川原 英之, 白日 高歩
    原稿種別: 原著
    1993 年 15 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    食道癌の予後は近年改善傾向にあるが, 他の悪性疾患に比べて依然著しく不良である. そこで今回, 産業医科大学病院第二外科において切除された101例の原発性食道癌患者に対し, 臨床病理学的因子と予後との関連を解析し, 食道癌の予後因子について検討した. 解析した因子は, 性, 年齢, 占拠部位, X線長径, 分化度, 深達度, リンパ節転移(n), リンパ管侵襲(ly), 血管侵襲(v), 上皮内進展(ie), 組織学的進行度(stage)の合計11項目であったが, その中で予後を決定する因子は深達度, n因子, ly因子, v因子, stageの5項目であった. この中で最も重要な予後規定因子と考えられたのは, 深達度(a3であるか否か)とリンパ節転移の有無であった. さらにリンパ節転移n1+2群陽性例においてはly因子, v因子の有無が重要な要素と考えられた.
  • 永田頌史
    原稿種別: 総説
    1993 年 15 巻 2 号 p. 161-171
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    心理・社会的ストレスによって免疫系が影響を受けることは, 一般に知られているが, 近年の神経科学, 免疫学の進歩により, その機序が詳細に解明されつつあり, 脳と免疫系が共通の情報伝達機構を持っていることが明らかになってきた. 心理・社会的ストレスによって細菌やウイルスに対する感染抵抗性が低下することや生活変化に伴うストレス, 適切でない対処行動や感情の障害された状態によって, 好中球の貪食能, リンパ球反応性, NK活性が抑制されること, またこれらが発癌にも関与することを示唆する成績について紹介した. 脳と免疫系の相互作用について, 視床下部-脳下垂体-副腎系のほかに, 自律神経系を介した免疫系への制御系の存在, 免疫・アレルギー反応の外部刺激による条件づけ, サイトカインの中枢作用, 免疫細胞からの神経ペプチド類の産生などについて, 著者らの成績も含めて解説した.
  • 白日 高歩
    原稿種別: 総説
    1993 年 15 巻 2 号 p. 173-182
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    肺癌は近年増加傾向の著しい悪性腫瘍である. 胃癌, 乳癌等の他臓器癌に比し治癒率の向上が遅れる原因の1つとして, 早期より血行性, リンパ行性の遠隔転移がみられ, 大部分が発見時すでに進行癌の状況であることがあげられる. 本論文でははじめに多彩な肺癌組織型のうち代表的な4つのタイプ, すなわち扁平上皮癌, 腺癌, 大細胞癌, 小細胞癌の特徴を簡単に説明する. 次いで, 現教室におけるこれ迄の肺切除例の臨床成積を紹介し, 今後の展望について言及する.
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