抄録
刺戟-分泌連関による副腎髄質からのカテコールアミン遊離においてCa2+は共軛因子として重要な役割を持っている. 本論文ではこのCa2+の動きに対し細胞内のナトリウムイオンがどのような調節作用を持っているのかという点について検討を加えた. 細胞膜ナトリウムイポンプをouabainで阻害すると細胞内ナトリウム濃度が上昇し, その結果Ca2+の細胞内への動き(Infllux)は増強され, 反対にCa2+の細胞外への動き(Efflux)は阻害された. この状態下ではcarbamylcholine刺戟によるカテコールアミン遊離は増強され, また長時間持続した. これらのことから, 細胞内ナトリウムイオンは細胞膜のCa2+に対する透過性を変えることによって二次的にカテコールアミン遊離を調節することが明らかになった.